チームID:JP2F2P
はじめに
つな(@tuna_pokemon)と申します。今回PJCS2025日本代表戦にてベスト8を達成できたので、構築を寄稿させていただきます。
構築経緯
日本代表戦はいくつかの特徴があると考えています。
→最後のBO3を除けばランクマと変わらないので、相手の認識をずらす初見殺しが通用する。BO3においても構築単位でどうしようもないポケモンで初見殺しをする場合は「読み合いを制する」のではなく「特定の要素をいかに通すか」に専念できる
・日本・世界チャンプのような精鋭を相手にしなければいけない
→いわゆるスタン系構築のプレイング勝負では勝つ確率が低い相手との勝負が少なくない
・会場での対面勝負かつ配信卓の可能性もある
→当日のコンディションや緊張など、練習段階とは異なるプレッシャーでプレイングがブレやすい
自分自身社会人で必ずしもポケモンの考察や練習に対して十分に時間が割けるわけではない環境下、限られた時間で最大の結果を上げるため、読み合いが発生するようなメタられる側のスタン系構築ではなく、環境メタ・初見殺しを絡められる尖った押し付け構築を選択し、太い基本選出パターンと、それが通らないポケモンがいる場合の裏選出というシンプルな場合分けをすることで当日のメンタル状態をケアできるような戦略を取ることにしました。
ここで目に留まったのが、レギュGの予選で使用した際は抜けられなかったものの上記に非常に近い行動が可能な「だっしゅつパックムラっけドーブルを使用したガチトリル」です。
これは、はんそでさん(@hansode_shiro)とおつゆ(@otuyusyadobo)考案のギミックで、トリックルーム始動役(以下トリラー)のサポート役のドーブルがねこだましやこのゆびとまれ、ワイドガードを押してトリックルームを決めても、ターン終了時にムラっけの能力下降に脱出パックが反応するのでトリルエースを安全に即着地できるというものです。(詳しくはお二人の以下記事をご覧ください)
1回目の予選で64位になった構築です。
C222カイオーガの雨眼鏡水テラス手助けしおふきで全て吹き飛ばす構築です!https://t.co/eIgWYEfNov— はんそで (@hansode_shiro) March 3, 2025
【JCS予選抜け】定時退勤ドーブルオーガ – おつゆの工作室
1回目の予選で予選抜けした構築の記事です。パクられを検知したので公開します。
はんそでさんと一緒に作りました!!@hansode_shiro
— おつゆの工作室 (@otuyusyadobo) March 3, 2025
このギミックは、いかくやこごえるかぜでドーブルが途中退出させられない限り決まるギミックなので汎用性が高く、直近の大会できあいのタスキ持ちデコレーションドーブルがバドレックス(はくばじょうのすがた)(以下白馬)、バドレックス(こくばじょうのすがた)(以下黒馬)との組み合わせで流行っていたこと(=ドーブル方向ちょうはつを誘発しやすい環境)、「さすがに代表選でこんなオモチャを持ち込む奴はおらんやろ」という真面目な発想の下で皆さん構築を作られるだろうという期待から、脱出トリルが比較的通りやすいのではないかと考えました。後半はただの願望です(笑)
次にトリラー枠ですが、レギュIでは伝説が二体使えるため伝説枠をトリラーにしても問題なく、安定感のあるトリラー兼トリルエース1枚目として白馬・ネクロズマ(あかつきのつばさ)・ルナアーラが候補となりましたが、ガチトリルギミックを決める上で伝説二枚の打点補完+できれば全体技をベースとしたいという考えから白馬に決定しました。
次にトリルエース2枚目ですが、白馬と相性が良いのは言わずもがなカイオーガとグラードンです。しかしグラードンのだんがいのつるぎは命中不安がある上に白馬とぶつり・とくしゅが被るため、カイオーガを選択しました。しおふき+ブリザードランス(以下ブリラン)はシンプルながら伝説を含めたほぼ全てのポケモンをみずテラス以外一発で倒せる破壊力があるため、押し付け要素としてはこの上ないパワーでした。
以上から、基本選出は前ドーブル白馬、後手カイオーガ@1
の投げ方に決まりました。白馬は基本前に投げるので、ガオガエンが来てもパワーが落ちないようクリアチャームを持たせることが決まりました。
ここで白馬オーガに追加で必要な要素としては、以下の3点が必要と考えました。
・ブリランしおふきを受けられるみずテラスへの打点
・トリル返し対策
白馬にクリチャを持たせる以上、モロバレル対策はくさテラスタルでよいと判断しました。実際あめふらし+草テラスの相性は良く、ミライドンの電気技を受ける意味でも必要な要素でした。さらに水テラスへの打点としてタイプ一致になるタネばくだんを採用することもすぐ決まりました。モロバレルの水テラスにもそのまま刺さるので、草テラスブリランで胞子回避→水テラスで受けられたらタネばくだんで処理という自然な流れを組めます。
次に白馬ミラーですが、草テラスの弊害としてミラーのブリランが重く、しかも白馬は高耐久かつ水テラスが多いため、「しおふき+ブリランを耐えてブリラン/トリル返し」という行動が可能です。この対策は非常に悩みましたが、直近の環境でやどりぎのタネ採用の白馬がザマゼンタ等への対策として流行っていたことから、減少していた最遅ふういんが刺さるのではないかと考えました。トリル封印は白馬に限らずイエッサンの水テラストリル返しのような動きにも強い上に、草テラスでブリランを誘発して封印ターンの手数損を少しでも回避できることが期待されます。(副次的な効果として、白馬ミラーでカイオーガへの種爆弾も封印できるので安全にしおふきを連打できます)
以上から白馬の構成が確定したものの、カイナ・ガチグマとの不毛な同速勝負が解決できていませんでした。特にガチグマは直近増えており、カイオーガもすばやさで負けているため、解決が必要でした。
そこでカイオーガに「パワーレンズ(くろいてっきゅう系の道具)」を持たせることを対策にできないかと考えました。レギュGの原案では伝説枠が1体なのでパワー重視でこだわりメガネを持たせる必要がありましたが、レギュIでは白馬のブリラン+種爆弾という強力な打点補完があり、先にしおふきを押せれば全ての水受けテラスの可能性を白馬で否定できる+しおふき→白馬の行動順とすることで白馬の「しろのいななき」を発動させやすいという利点が生じます。カイナはねこだましがありますが、伝説どちらかを止めるだけではトリルの4ターンを防ぐには不十分であり、念のためカイオーガにまもるを採用することでカイナ+氷等倍テラスミライドンの電気技集中という択を回避できます。数は少ないですがディンルーの上からもしおふきを押せるので、カタストロフィで火力を下げられる心配もありません。
そしてカイオーガのテラスタイプは、メインが水火力の押し付けなのでみずテラスとしました。これにより、テラスしおふき+ブリランでチョッキカイナを倒したり、しおふきでウーラオス(れんげきのすがた)(以下水ウーラ)を一撃で倒したり(エルフーン対面でトリルを押した際、トリル後に白馬を引かせつつウーラを倒せる)と、トリルターンの圧力を高める選択肢を作れました。カイオーガの技はしおふき/守るを確定とし、体力が削れても押せるこんげんのはどうと、水テラス対策②のかみなりを採用しました。ミライドンと組む白馬やルナアーラに対して、白馬側が種爆弾を押さずとも水テラスを挟めることで制圧力を高められました。ハイドロポンプはワイドガード対策として有効ですが、後述のとおりザマゼンタ対策はランドロス(けしん)に一任したこと、ルナアーラはトリル中先に動くためハイドロポンプでも雷でも倒せないことから、今回は雷を優先しました。
さて、次に基本選出のラスト枠として、初手でガオガエンが出てきてドーブルがトリルサポートを出来ないケースと、トリルターンを凌がれた後も機能するスイーパーの役割が必要でした。ここは白馬オーガのどちらとも相性の良い水ウーラオスにこだわりスカーフを持たせて採用しました。黒馬+ザマゼンタ(以下黒ザマ)への鍵となるポケモンで、後述の想定選出どおり水ウーラのスカーフ霊テラスでねこだまし+ボディプレスを無視しながらあめ+すいりゅうれんだでドーブル・ガエン・黒馬を貫通するプランでしたが、4戦目のキヌガワ戦ではドーブルが草テラスだったので初手でこのプランが砕かれてしまい、考察不足だったと思います。加えて、後述の化身ランド採用でガエン対策は一定程度できていたので、やはり水ウーラの枠および型には再考の余地があったと思います。例えば、ルナアーラ対策が不十分だったので、こだわりハチマキでの採用(雨+ハチマキすいりゅうれんだでルナアーラ貫通)もアリだったかなと。
次に、白馬オーガにとり最大の対策であるワイドガードをどう乗り切るか考えました。環境に存在するのはザマゼンタとルナアーラで、主な組み合わせとしては黒ザマ、ザマゼンタ+ミライドン(以下ザマミライ)、ザマゼンタ+カイオーガ(以下ザマオーガ)、ルナアーラ+ミライドン(以下ルナミライ)、ルナアーラ+コライドン(以下ルナコライ)が挙げられます。
先ず対策しやすいザマ対策についてですが、ザマは化身ランドロスに非常に弱いです。いのちのたま+ちからずく+だいちのちからで確定一発を取れる上に、テラスタイプとしてはみず・ドラゴン・くさの水半減がメジャー(他はフェアリー・ゴースト等)ですが、くさ以外は大地にテラスを合わせられても次の大地で倒せますし、草テラスはヘドロばくだんでほぼ倒せますので、やはり受けられません。さらにいずれも単体技なのでワイドガードも通らず、最良のザマ対策と判断して採用しました。白馬の横にオーガではなくランドが来てもこおり+じめんの良好な打点補完が組めますし、ねっさのあらしという全体技もある(しかもオーガの雨で必中)ので、基本選出の@1としてザマに限らずミライ・晴れ系統にも積極的に投げました。考察後半にかけては、水ウーラよりもランドのほうが基本選出となりました。
最後にルナアーラ対策ですが、これは非常に厄介で半分切り気味でした。ルナアーラはワイドガードだけでなくトリックルーム返しもできるため、発想を変えてトリルプランに拘らずシンプルに上から打点を押し付けることにしました。
また、数は少ないですがクロさん(@f_kc56)が直近大会で優勝されたマタドガスも非常に苦しいです。この構築にはドブ白馬の初手が投げられず(コライドガスの白馬方向フレドラ挑発が安定択)、比較的ランドロスの通りが良いものの、コライドンやウネルミナモに上から倒されるため、S操作が不可欠でした。
以上をまとめて解決するポケモンとして、きあいのタスキを持たせてムーンフォース・シャドーボール・こごえるかぜを搭載したハバタクカミを採用しました。ルナ・ミライ・コライの全てに弱点をつけるためテラスを要求でき、テラス後もほのお・フェアリーテラスはランドロスで刈り取れるので、初手カミランドのアグロ展開で後発水ウーラ+カイオーガ(白馬は非選出)というプランが比較的通ると考えました。また、こごえるかぜで上を取れないおいかぜパターンにはタスキを盾にトリックルームを押せばよいと考え、最後の技にはトリックルームを採用。テラスは黒馬対策+エルフーンのアンコール対策であくにしました。調整段階と代表選でも基本選出の通りが悪い晴れ構築・ルナアーラ・マタドガス相手に活躍してくれたので、悪くない選択だったかと思っています。最後TAをかけた戦いでのじーん戦には通用しませんでしたが、彼はポケモン星人なので何を使っても無理だったと思います。南無三。
以上により、基本選出のドブ白馬/オーガ+ランドor水ウーラ、ルナアーラ・コライドガスに対してのカミランドを活用した裏選出という、冒頭説明した「太い基本選出パターンと、それが通らないポケモンがいる場合の裏選出」を実現しました。
少し考察不足のところもありましたが、基本選出が本当に強く、代表選でも脱出ドーブルと白馬の封印、オーガのパワーレンズでイージーウィンを量産できたので、コストパフォーマンスに優れた構築だったと思います。






個別解説
カイオーガ
あめふらし | ![]() |
パワーレンズ | |
みず | |
れいせい | |
H207(252)-A×-B111(4)-C222↑(252)-D160-S85↓ | |
しおふき/こんげんのはどう かみなり/まもる |
調整:HC特化。
トリルエースなのでこれ以外要りません
ハバタクカミ
こだいかっせい | ![]() |
きあいのタスキ | |
あく | |
おくびょう | |
H131(4)-A×↓-B75-C187(252)-D155-S205↑(252) | |
ムーンフォース/シャドーボール こごえるかぜ/トリックルーム |
調整:CS特化。
カミランドのアグロを決めるため、同速に少しでも勝てるよう最速は必須。
ウーラオス(れんげきのすがた)
ふかしのこぶし | ![]() |
こだわりスカーフ | |
ゴースト | |
いじっぱり | |
H175-A198↑(236)-B120-C×↓-D83(20)-S149(252) | |
すいりゅうれんだ/インファイト アクアジェット/とんぼがえり |
調整:最速黒馬抜き、すいりゅうれんだの乱数が大きく変わらないライン残りD。一応ねこだまし+アストラルビットの生存率が変わりうるためD振りです
ランドロス(けしん)
ちからずく | ![]() |
いのちのたま | |
はがね | |
ひかえめ | |
H166(12)-A×↓-B111(4)-C178↑(212)-D105(36)-S152(244) | |
ねっさのあらし/だいちのちから ヘドロばくだん/まもる |
ひかえめC252こだわりメガネミライドンのハドロンエンジンりゅうせいぐんをテラス時15/16耐え
だいちのちからでH191調整のザマゼンタを14/16一発
こごえるかぜ1回でひかえめこだわりスカーフイーユイ抜き
ドーブル
ムラっけ | ![]() |
だっしゅつパック | |
じめん | |
ようき | |
H134(28)-A40-B55-C×↓-D95(236)-S138↑(244) | |
ねこだまし/このゆびとまれ ワイドガード/キノコのほうし |
黒馬のサイコキネシスを13/16耐え
ひかえめS252テラパゴス抜き
黒馬パゴスを意識したDS調整にしましたが、ハバタクカミのムーンフォースやイーユイのねっぷうも耐えるので、この構築ではこれが正解だったと思います。テラスタイプは結構なんでもいいです。
バドレックス(はくばじょうのすがた)
じんばいったい | ![]() |
クリアチャーム | |
くさ | |
ゆうかん | |
H270(252)-A238↑(252)-B170-C×-D151(4)-S49↓ | |
ブリザードランス/タネばくだん ふういん/トリックルーム |
調整:HA特化。Aを下げないことで、テラスタネばくだんで水ウーラを倒せる等のメリットがあります。
選出と立ち回り
基本選出(黒ザマ・ルナ・コライドガス以外)
先発:


後発:


先発:


後発:


猫指+トリルからドーブルが脱出して、ザマがいればランド、その他はオーガを着地させて暴れます。大半の試合はこれで終わります。
黒ザマ


後発:


ガエンゴリラ+黒馬のような対面では水ウーラに初手ゴテラを切って白馬引きオーガ+黒馬方向すいりゅうれんだで突破し、以降も連打で落とせる方向に殴っていきます。ランドを投げてそのまま終わるか、白馬でトリルしてランドオーガを通してもいいです。ランドの鋼テラスはゴリラライコの草・竜技を受けるためにも使うので、テラス権は安易に切らないほうがいいです。
ルナミライ・ルナコライ・コライドガス


後発:


基本的にランドをカミで介護しながら火力を通していきます。追い風がなければこごかぜ、追い風が来ればトリルを押すイメージです。相手にトリルされてもこちらにはレンズオーガがいるので問題ありません。ガチグマも上から潮吹きで一撃です。
相性としては、白馬入りには練習から本番まで全勝、ルナ以外のミライ・オーガ入りにも8割程度は勝てており、黒ザマはガエンゴリラ系統には有利、ドーブルライコには五分五分、ルナアーラ系統は微不利となっています。
さいごに
GSルールが得意なので、6年前のPJCS2019に続き代表選で好成績を収められたことを嬉しく思います。WCSでも好成績を目指してまいります。
今回の構築を組むにあたって、素晴らしい原案を作成されたはんそでさん、おつゆ、調整相談に乗ってくれた障子、そして貴重な色証ハバタクカミを交換してくださったさきさんにこの場を借りて御礼申し上げます。ありがとうございました!
チームID:JP2F2P
パーティ作成者
つな
主な戦績:
PJCS2025 日本代表戦ベスト8
PJCS2024 69位
PJCS2019 日本代表戦ベスト16→WCS2019 day1
第88回DEXオフ優勝
ダブルレートシーズン2 最終2009(68位)