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はじめに
こんにちは、マイケル(@rep_maikeruVGC)です。
3年ぶりに開催されたポケモンの世界大会、WCS2022に出場してきました。
結果としては、Day1を6勝2敗で勝ち上がり、Day2で3勝4敗で敗退となりました。そこで使用したパーティについて紹介しようと思います。
以前INC予選で使用したギラティナヒスイビートを原型としたパーティになります。
構築経緯
旧ヒスイビート(オーロンゲの枠がドータクンだったもの)の構築経緯
最初は遊び心によるものでした。ポケモンLEGENDSアルセウスを遊び、ギラティナを活躍させたくなり、ついでにヒスイ地方に登場したポケモンだけの縛りでパーティを組むことにしてみました。
伝説はまずディアルガの弱点をギラティナが両方無効にできることに注目し、ディアルガとギラティナが決定。2匹とも味方のじしんに巻き込まれないことに気付き、思い切ってハチマキランドロスを採用。素早さ操作役にいたずらおいかぜのトルネロス、伝説2匹が苦手なイベルタルに強く出れるボルトロス、ここまではヒスイ縛りで選択肢が狭まっていたことによりすんなり決定。
ここまで来たら残りのポケモンも浮いているポケモンにしたいと考え、ヒスイ地方で浮いているポケモンを探したところ目に留まったのがドータクン。このパーティはこおりタイプに弱く、トリル白バドレックスを決められると非常に厳しい展開になるのですが、ドータクンは白バドレックスに非常に強いポケモンです。このパーティの穴を埋めるのにぴったりだと感じ、ドータクンを採用してパーティが完成しました。
実際に使ってみたところ思っていた以上に使いやすく、特に追い風ディアルガやハチマキランドロスの制圧力がすさまじく、弱った相手のとどめや時間稼ぎに柔軟に対応できるギラティナも上手くフィットしていました。
このパーティを使用したところINC Febではレート1874とボーダーを逃すものの好成績を収めました。
その後もこのパーティを研究し、INC Marchではギラティナを似た役割を持てる物理イベルタルに変更したところ、こちらもレート1874を記録。イベルタルはふいうちの火力が高く当時はほとんどが特殊イベルタルだったため文字通り不意をつけたことも多かったのですが、ギラティナと比べて明確にザシアンに弱いこと、カイオーガに対しても水耐性がないため強くないといった点が気になり、ギラティナとは一長一短であると感じました。
WCSパーティ決定経緯
時は過ぎWCS出発の日。飛行機に乗るまでは別の3つのパーティが候補でした。得意のコーチングを採用したホウオウグラードン、ギミックパーティが没になりそれを丸めてできたウルガモス入りグラードンザシアン、そして密かに研究していたしろいきりグラードンザシアン。いずれも少し試したところ悪くはない使用感だったのですが、十分な練習ができておらず、世界の強豪を相手取るにあたり不安に感じるところがありました。
環境を想定するにカイオーガザシアンやグラードンザシアンとの対戦が多くなるであろうというところで、ふと以前予選で使用したヒスイビートのことが浮かびました。ヒスイビートはギラティナがカイオーガやグラードンに強めで、かつハチマキランドロスがいるためザシアンにも強め。更に予選の頃と変わり環境に入ってきたルナアーラに対してもギラティナが強く、環境的には追い風であると感じました。ヒスイビートにはいくつか課題がありましたが、その多くが上記候補のパーティで活躍し信頼していたオーロンゲの採用によりクリアできることにも気付きました。
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ヒスイビートは少し話題になったパーティであるため構成や戦い方はある程度知られている可能性がありましたが、少しの技の変更や新顔のオーロンゲ、自分の技量でカバーできる範囲だろうと考えました。
気付けば飛行機の中では脳内はずっとヒスイビートを使ったダメージ計算・対面シミュレーションでした。これだけ自分はヒスイビートで戦いたいのだなという心に従い、ヒスイビートを使うことにしました。
個別解説
ディアルガ
テレパシー | |
いのちのたま | |
ひかえめ | |
189(108)-*-142(12)-222(252)-121(4)-127(132) | |
ときのほうこう/てっていこうせん かえんほうしゃ/かみなり |
特攻特化
追い風時に1段階上昇最速100族抜き+1
残り耐久(HP10n-1)
攻撃の要。基本的にはダイマックスして相手をガンガン倒しに行きます。
努力値は攻撃能力を最大まで高めるためひかえめ特化は確定。素早さはグラードンから先手を取りたかったことと、追い風や鉄球トリック時にダイジェット1回使用した100族を抜けるように126、そこから253レジエレキも追い風で抜けるように1伸ばして127としました。残りは命の珠ダメージを抑えれるようにHPは189、ザシアンのせいなるつるぎが怪しいので僅かばかりに防御に振りこの配分となりました。
技は、まずドラゴン技はときのほうこう。球ダイドラグーンでガオガエンやトリトドンを倒す確率を上げるためにこの火力は譲れませんでした。サブウェポンについて、以前はだいちのちからとれいとうビームを採用していましたが、ヌケニンが一定数いるであろうこと、後発ダイマックスカミツルギがやや重いこと、カイオーガと戦うことも多いであろうこと、リザードンに大ダメージを与えたいこと、あくびを使用する相手とも当たるであろうことを考え、かえんほうしゃとかみなりを採用することにしました。
そして鋼技。だいちのちからをかえんほうしゃにしたことにより雨下のザシアンを一撃で倒すのが難しくなったため、鋼技はラスターカノンからてっていこうせんに変更しました。球140ダイスチルの威力は無振りザシアンであれば確定1発というほどであるため、雨下のザシアンを狙う際はダイスチルで狙います。リリバオーロンゲもねこだましと合わせればほぼ倒すことができます。
まもるは立ち回りに幅を与えてくれたりギラティナのシャドーダイブと相性が良くぜひとも欲しい技だったのですが、攻撃範囲を優先して今回は見送りました。
持ち物は、技の採用理由にも繋がる形からいのちのたまで確定です。
初手ダイマックスして攻め込めるのが理想ですが、状況によっては後発で様子を見たり、ダイマックスを後発に回してディアルガはてっていこうせん→ときのほうこうなどで強引に倒す動きを取ることがあります。
このポケモンが相手を2匹持っていくことができれば勝利は目前です。
ギラティナ
ふゆう | |
はっきんだま | |
いじっぱり | |
239(108)-189(252)-129(68)-*-121(4)-120(76) | |
シャドーダイブ/ポルターガイスト かげうち/まもる |
攻撃特化
1段階下降した最速111族抜き
残り耐久(HP10n-1、白バドレックスのブリザードランスをほぼ耐えるくらい)
ダイマックスしなくても力を発揮できるポケモンであり、シャドーダイブやかげうちで器用に立ち回ることができます。ディアルガに飛んでくる弱点技の両方を無効で受けれるのも長所で、初手にディアルガが不利をとった際にはギラティナに入れ替えることがあります。持ち物固定を活かし、相手のオーロンゲなどのトリックに対して受け出す場面もありました。
イベルタルがライバルですが、イベルタルと比べると
・ザシアンに大きな不利を取らず、じゃれつくがなかったり威嚇や壁のサポートがあれば十分互角に戦える
・シャドーダイブのダイマックスしのぎ性能
・ふいうちではなくかげうちであるため相手の補助技や連続のまもるに対しても安全に攻撃できる
・レジエレキに対して非常に有利。ボルトロスにも不利は取らない
といった強みがあります。
基本的には相手の残数を削った後に後発で詰めに使うポケモンで、ガード貫通のシャドーダイブや安定先制技であるかげうちを使って逃げれぬ相手を確実に倒していきます。
努力値は、まず攻撃特化が確定。素早さは、Day1では113の個体を使っていたのですがグラードンに抜かれることが多かったのが気になったため、Day2では素早さを120に上げ、こごえるかぜ1回で相手のボルトロスやカミツルギを抜けるところまで伸ばしました。残りを耐久に振り、参考として白バドレックスのダブル時ブリザードランスを耐えれるくらいの耐久があります。
技はかげうちが確定。ギラティナの個性が光るシャドーダイブもぜひとも採用したい技。次に通常攻撃にあたる技の採用。ノーマルや悪タイプを削るためにドラゴンクローを採用することもできますが、するとザシアンを削りにくくなったり火力不足が気になってくるため、長所を活かすことを優先しポルターガイストを採用、ゴースト3ウェポン型となりました。相手の攻撃を耐えつつかげうちのチャンスを伺ったりダイマックスの解除を狙うためにまもるも採用します。
トルネロス
いたずらごころ | |
きあいのタスキ | |
おくびょう | |
154-*-90-177(252)-101(4)-179(252) | |
こごえるかぜ/にらみつける おいかぜ/まもる |
特攻、素早さ特化
端数はとくぼうに回しランドロスと並べた時にダウンロードで相手の攻撃上昇
パーティの素早さ操作の要。旧ヒスイビートと変わりはありません。
技は素早さ操作や削りに使うこごえるかぜ、ボルトロス・ランドロス・ギラティナとの連携に役立つにらみつける、ねこだましやダイアイス・ダイロックから身を守ったり追い風タイミングを調整するのに役立つまもるも採用しています。
こごえるかぜの威力を少しでも高めること、ミラーで強気に出るために努力値は特攻と素早さに振りきり、耐久面はタスキに任せています。
ディアルガが相手の残りポケモンを減らし、入れ替えにくくなったタイミングでにらみつけるを入れておくと後続のランドロスやギラティナが相手を倒しやすくなります。
ボルトロス
まけんき | |
とつげきチョッキ | |
ようき | |
136)-163(220)-100(76)-*-101(4)-168(172) | |
ワイルドボルト/そらをとぶ ばかぢから/とんぼがえり |
最速100族抜き
なんとなく見栄え良く物理耐久(222ザシアンのてだすけきょじゅうざんが31%の乱数1発)
残り攻撃
ディアルガやギラティナでは不利な対イベルタルやイエッサンを意識したポケモンです。とつげきチョッキを持たせることで特殊イベルタルに強くし、また取り巻きの特殊アタッカーからもやられにくくし、相手のイベルタルを倒すまでできる限り生存できるようにします。
技は、ダイマックス解除時の火力も重視してワイルドボルト。ダイジェットになるそらをとぶも確定。格闘技はダイマックスせずとも火力を出せるばかぢからを採用しました。最後の枠は対黒バドレックスのかみくだくや耐久強化ができるアイアンテールも魅力的だったものの、パーティがやや苦手とするイエッサン+ダイマックス特殊アタッカーの並びに対抗するためダイワームになるとんぼがえりを採用しました。
努力値は、Day1では攻撃157の個体を使っていたのですがその際ダイサンダーで相手のイベルタルを倒し切ることができず、火力不足を感じたためDay2ではより攻撃に努力値を回しました。その分ザシアンのてだすけきょじゅうざんを耐える確率は怪しくなっているため注意する必要があります。
ボルトロスが先発に出やすくギラティナが後発になりやすいポケモンなので並ぶことはあまりないのですが、ダイジェットで素早さを上げてシャドーダイブ回避、ダイナックルで火力強化したガード不能のシャドーダイブを叩き込む、といった動きも面白いです。
霊獣ランドロス
いかく | |
こだわりハチマキ | |
ようき | |
165(4)-197(252)-110-*-100-157(252) | |
じしん/そらをとぶ ストーンエッジ/ばかぢから |
最速、攻撃全振り
このパーティの隠れたエース。ランドロスのハチマキ地震はほとんどのザシアンを一撃ダウンさせるほどです。新たに加わったオーロンゲが巻き込まれてしまいますが、それでもかなり自由にじしんを放つことができます。追い風やダイジェットの上からじしんを押し付けるのはこのパーティの勝ち筋の一つです。
技はじしんは確定、ダイジェットの選択肢が生まれたり緊急回避としても使えるそらをとぶも採用。対イベルタルなどを想定した威力重視のストーンエッジと、弱点を突ける相手に大きなダメージが狙える高火力なばかぢからを採用しました。
性格は、いじっぱりにすればハチマキ地震でザシアンの乱数耐えさえ許さなくなり魅力的に思えたものの、伝説の90族から確実に先手を取れるメリットは非常に大きいと考えようき最速としました。
オーロンゲ
いたずらごころ | |
くろいてっきゅう | |
しんちょう | |
202(252)-141(4)-100(116)-*-122(124)-82(12) | |
イカサマ/ねこだまし トリック/こわいかお(Day1)、リフレクター(Day2) |
鉄球トリック後に最速ソルガレオ抜き
耐久全振り。ディアルガと並べた時にダウンロードで攻撃上昇
浮いてもいないしヒスイのポケモンでもないけどこのパーティに参入したニューフェイス。この枠に求めていた要素としては、
・対トリックルームの戦力になる
ということでした。これらの要件を満たしつつ、いたずらごころにより多くの相手に仕事ができる性能を持つオーロンゲはこのパーティにぴったりだと感じました。
鉄球オーロンゲは他の候補だったグラードンザシアンパーティでも採用しており、タスキ潰しと素早さ操作が同時に行える点など、かなり信頼しているポケモンでした。このパーティだと相手の飛行タイプにくろいてっきゅうを押し付けながらランドロスでじしんを打つこともありました。
努力値はほぼ耐久全振りですが、少しだけ素早さに回して鉄球トリック時に最速ルナアーラ・ソルガレオを抜けるようにしています。
技は、まず採用理由であるねこだまし、トリックルーム下で白バドレックスを強打するためのイカサマ、トリル対策として持ったくろいてっきゅうをそれ以外の相手との戦いにも活かすためトリックまで確定。最後の枠には、Day1ではこわいかおを採用していたのですがDay2ではリフレクターに変更。2重の素早さ操作も便利なのですが、相手の素早さ操作が強かったりするとこわいかおでもサポートしきれない場面などがあり、こわいかおを使いたい相手も主にザシアンになることから、リフレクターとしました。リフレクターがあるとランドロスやギラティナがザシアンと戦いやすくなります。
トルネロスとはきれいに棲み分けができているサポーターで、パーティをよく支えてくれたポケモンでした。
選出と立ち回り
明確に決まっているわけではなく、相手のパーティを見て時には勘にも従いながら選出します。以下は選出例です。
選出①
後発:+
このパーティのパワーを最大限発揮できる選出。問題がなければこう出したい。
選出②
後発:から2体
・ディアルガ+オーロンゲ、ランドロスorトルネロスorギラティナ
相手の厄介なサポートポケモンをねこだましで止めてディアルガで攻撃。後発は、素早さ操作が重要な場合はトルネロスを選出。ランドロスとギラティナの選択はランドロスが刺さる場面もけっこうあります。
選出③
後発:+
相手が受身な場合、初手ダイマックスが危険な場合は相手を威嚇しつつチャンスあらば高い攻撃力で攻撃できるランドロスが先発候補。
選出④
後発:+
このパーティの攻撃力を集中させた初手。トリックルームパーティなど、初手が受身な相手にはこの2匹で強烈な負担をかけにいきます。
選出⑤
後発:から2体
対イベルタルのためにボルトロスを軸にした選出例。オーロンゲのサポートにより、レジエレキのエレキネット+イカサマなどにも対処が可能です。
対戦での選出数
各ポケモンのDay1とDay2の対戦全35戦での選出数を数えたところ、このようになりました。()内は先発だった回数です。
・ギラティナ 29(2)
・ボルトロス 8(6)
・トルネロス 24(14)
・ランドロス 32(9)
・オーロンゲ 16(15)
注意すべき苦手な相手
オーロンゲ
ねこだましオーロンゲを採用したことで早期の対処も可能になりましたが、上手く入れ替えられたり裏から繰り出されたりして壁を貼られたりするとやはり苦しい展開になります。オーロンゲの横に放置しにくいポケモンがいると苦渋の選択を強いられます。
ディアルガ
ディアルガからだいちのちからを外してしまったため、ディアルガミラーでは不利。一応ダイドラグーンでも大きなダメージが入ったり、ハチマキランドが強打することもできるので、どうにもならないわけではありません。幸いWCSでは当たりませんでした。
ムゲンダイナ
強化ダイマックスほうを直撃するとギラティナやランドロスは耐えることができず、基本ダイマックスして戦うディアルガやボルトロスも大ダメージを受けてしまいます。棒立ちしているだけなら追い風からの攻撃で対処できますが、横にいるポケモン次第では苦しい展開を強いられます。Day2の2戦目ではムゲンダイナとポリゴン2の並びに為す術がありませんでした。
ポリゴン2
このパーティの最大の天敵。まずギラティナの攻撃を一切受け付けない。さらに特性がトレースの場合こちらのサポーターのいたずらごころを奪い先制でかいでんぱやじこさいせいをしてくるようになります。ランドロスで強打しようにも、対面では威嚇をトレースされて弱体化のリスクあり。オーロンゲのねこだましで時間を稼いだり、トリックで進化の輝石を奪って耐久を下げればなんとかなるかと考えていましたが、甘かったです。ドータクンを抜いたツケがここに回ってきました;
さいごに
このパーティは対戦とは関係ない縛りの遊び心から生まれたパーティでした。そのパーティとまさか世界大会までの付き合いになるとは思いませんでした。
このパーティに決めたのも直前のタイミングだったため、もしかするともっとブラッシュアップすることができたのかもしれません。本当にベストなパーティを仕上げれたのか大会前は不安もありましたが、大会中は勝利のために全力を注ぎ、中にはミスで落としてしまった試合もありましたがおおよそこのパーティのベスト、あるいはそれ以上の結果を出すことができたのではないかと思います。満足の行くパーティを完成させることは難しいですが、足りない分は自分のプレイングで補う覚悟も大切であると感じました。
今後も遊び心を忘れずに色々なポケモンやパーティの可能性を模索し腕を磨いていきたいと思います。
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パーティ作成者
マイケル
こだわりのポケモン達と高みを目指して10年以上。ジオコンドーブルとWCS2015 Day2 40位、グソクムシャとOceania International 2017 Day2 27位、イーブイとPJCS2018ベスト16、リオルとPJNO2020ベスト8など。2019年~2021年の全国大会にも出場。世界大会は今年で3度目。
ブログ(maikeruのポケモン育成日記)にはポケモンの努力値調整メモ記事やパーティ記事を書いています。Youtubeでは配信の他解説動画も時々上げています。