チームID:340P54
はじめに
NoFace(@kayaup_LaPaPa02)と申します。雨パーティを極めるべくダブルバトルをしています。
今回は、PJCS2024予選第1回を通過した構築の紹介、もとい現代版トノグドラ構築の布教をしたいと思い寄稿させていただきました。
構築経緯
DLCにより雨の王・ニョロトノとキングドラが両方解禁されたので、私の最も得意とする戦い方ができるようになり、この2体をベースに構築を組むことにした。この並びの強み(私の得意とする戦い方)は、「キングドラで残数有利を取り、ニョロトノのほろびのうたで残りを確実に倒す」という立ち回りである。
この簡潔かつ極めて強力な動きを通せれば、少ない労力で勝つことができる。しかし、現実はそう甘くなく、どんな環境においても雨選出に強い性能のポケモンはトップメタに少なからず存在している。また、トノグドラがタイプ上有利な相手でも、今作はテラスタルで耐性をつけて相性関係を逆転してくることがある。そのため、それらがどのポケモンなのか明確にした上で、それらに有利以上の相性をなるべく維持する、相性を逆転させる相手ならテラスタルを早く使わせようと思わせる選出が組めるように構築しなければならない。上記を目標に考察を進めていく。
環境ポケモンとの相性
まずは、現環境を取り巻くポケモンたちとの関係を整理し、課題を明確にする。キングドラで相手をしたことがない新しいポケモンが多いため、この工程は必須だ。
微有利:ガオガエン、イーユイ、ウネルミナモ、草オーガポン、キラフロル、カイリュー、テツノカシラ、メタグロス
普通:トルネロス、リキキリン、クレセリア、パオジアン、悪ウーラオス、ドドゲザン、トドロクツキ
微不利:水オーガポン、ゴリランダー、エルフーン、ヘイラッシャ、シャリタツ、タケルライコ、ハバタクカミ
不利:アシレーヌ、ブリジュラス
この中には、お互いのテラスタル込みで決まっている相性関係もある。
・イーユイ(くさ)
・ウネルミナモ、シャリタツ(はがね)
・タケルライコ(くさ・フェアリー)
・キラフロル(みず・くさ)
・テツノカシラ、メタグロス(みず)
・ハバタクカミ(みず・くさ)
が耐性を半減以下に変化、
・カイリュー、エンテイ(ノーマル)
・化身ランドロス(どく・はがね)
が等倍に変化して反撃してくる。
これらを念頭に置いた上で、相手のテラスタルに左右されず、相手側からテラスタルしてくれるだけのプレッシャーのある(これはキングドラのみである程度達成している)選出・立ち回りが重要である。
特筆すべき新ポケモン
ハバタクカミ、水オーガポン、ブリジュラスの3匹に焦点を当てて考察する。
・ハバタクカミ
説明不要の最強ポケモンだが、フェアリータイプと高い特防により、キングドラに強い性能をしている。互いが万全の状態から普通に戦うと勝てないので、どうにか対処する必要がある。
1.まずキングドラのテラスタイプをフェアリー半減にする。どくかはがねかになる訳だが、他のポケモンを考えた時に、しんそくやこがらしあらし、りゅうせいぐんなどのよく飛んでくる技を全て半減できるははがねが適切だろう。これはニョロトノにも言えることで、ゴリランダーやタケルライコの攻撃をはがねテラスタルで耐えながらほろびのうたを決め、勝ちに持っていく強力な動きができる。
2.先制技でスイープする選択肢を作る。先制技はハバタクカミのもう一つの弱点なので、そこを上手く突きたい。バレットパンチを使えるポケモンを採用できれば、こだわりメガネハバタクカミに序盤から荒らされる展開を大きく抑制できるので、バレパンあったらいいなくらいの認識で念頭に置いておこう。
・水オーガポン
元のタイプ、ちょすいのこのゆびとまれ使い(だくりゅうメインで攻めるので関係ないが)、テラスタルで特防が上がって突破困難になるなど、全てのポケモンの中でトップクラスに辛い要素を併せ持つ。てだすけ+いのちのたまぼうふうで破壊できるが、テラスタルで耐えられてしまう。そして、そのターンにテラスタルするかどうかが分からず、テラス切る→善手、テラス切らない→悪手となる。このようにこちらの行動選択がブレる点もとても厄介なので、最も強く警戒する必要がある。
1.等倍以上(物理技推奨)でゴリ押せる水草半減のアタッカーを用意する。テラスに左右されず殴り合うには、高火力の電気や草タイプの攻撃が有効である。毒や虫タイプの技も視野に入れてよい。
2.ツタこんぼうの一貫を切る。トノグドラには効かないが、補完ポケモンで相手をする時に、ツタこんぼう(ウッドホーン)が安定択にならないよう、縦の相性補完を取りながら戦う必要がある。これは1同様に草タイプを持つポケモンなら簡単に達成できそうだ。
3.デバフを入れる。いかくやワイドブレイカー、おにびなどのデバフで被害を抑えながら戦うこともしたい。いかくやおにびは汎用性のあるものなので、構築にあって損はないだろう。(ツタこんぼう急所はある程度仕方ないと割り切る)
・ブリジュラス
元の優秀な耐性に加え、とつげきチョッキで特防が上がっているため容易に突破できない。そして、りゅうせいぐん、エレクトロビーム、ボディプレスといった、トノグドラを簡単に破壊できる技ばかり採用されている。天敵と言っていいだろう。ただ、このポケモンはそこまで数が多いわけでもなく、等倍以上の相性の特殊アタッカーでゴリ押し突破できないこともないので、対策ではなく最低限の対処の範囲に留めたい。これは余計な対ブリジュラス要素を入れて構築全体のコンセプトに歪みを出さないためである。
1.超火力特殊アタッカーのゴリ押しで解決する。これは地面やフェアリー、ドラゴンタイプのりゅうせいぐんで達成できる。ハバタクカミや化身ランドロスといった具体的な顔が既に思い浮かぶが、これらの性能(相性補完)が雨滅びという構築コンセプトと一致するのかは疑問である。
2.こちらからは積極的に雨を降らせず(エレクトロビームを抑制)、デバフを撒いて置物にする。殴るとじきゅうりょくが発動してしまうので、すてゼリフで弱らせるのが理想だと感じた。
必要条件の総括
トノグドラを新環境に落とし込んで考察していく上で、これは必要だと思った要素を整理する。
②草タイプのアタッカーの存在
1.水・草の一貫切り
2.水オーガポンとの優位なダメージレース
③一定以上の威力の先制技持ち(バレットパンチ使いで採用できる者がいれば嬉しい)
④超火力特殊アタッカー
⑤デバフを撒けるサポーター(すてゼリフ推奨)
また、説明が遅れたが、雨滅びの基本の動きと相性のいい戦術も取り入れたい。それは、「ねこだまし」と「交代技」の存在だ。ねこだましはキングドラの行動保証をつけることやほろびのうた→3ターン耐え切る動きを補助する優秀な技であり、ボルトチェンジ・とんぼがえり・すてゼリフといった交代技は、ダメージやデバフを与えつつ盤面を有利に操作する(天候合戦や自分にかかった滅びのリセットも可能)有意義な技だ。そして、その両要素は相互に大きなシナジーを持つ(ポケモンAのねこだまし→すてゼリフ→ポケモンBのねこだまし+隣をAに交代→Aのねこだまし、といった立ち回りを柔軟に行える) そのため、これらを備えたポケモンをできれば複数体採用したい。
この①〜⑥の要素を持つポケモンを取り入れ、トノグドラのサポートをするだけでなく、キングドラ抜きでも強力な選出を考える。
補完ポケモンの採用
上記の①〜⑥の要素を満たすポケモンを4体考える。何を使うべきかはいくつか見えてきているので、まずは結論から述べて簡潔にいく。
・ガオガエン
②-1、⑤、⑥を満たす。ハバタクカミにダメージを与え、オーガポンの威力を抑えられるのが偉い。ねこだましとすてゼリフ(とんぼがえり)で滅びのアシストができる点は昔から評価されており、採用し得ポケモンと言える。
・ゴリランダー
②、③、⑥を満たす。対水オーガポンにおいて最も信用できるポケモンだと思う。グラススライダーでハバタクカミに大ダメージを与える点や、ねこだましとグラスフィールドの回復で滅びのアシストができる点も強い。地面技やキノコのほうしの一貫を切れる点も優秀だ。
・ハッサム
②-2、③、⑥を満たす。ハバタクカミ、水オーガポンに弱点を突けるし、ガエンと合わせてパオカイに強い、補完が取れているため雨の引き先となる、とんぼがえりで交代できる、などが強力だ。ガオガエンよりもずっと昔からトノグドラと共に戦ってきたこのポケモンは、今作でもその実力を遺憾無く発揮できるだろう。
残る要素はブリジュラスに大ダメージを与えること。それを満たす超火力特殊アタッカーを探す。加えて、化身ランドロスの一貫を切る、モロバレルの処理速度を上げる、といった要素を付随したい。ここで思い浮かべるのはハバタクカミや化身ランドロスだが、軽く先述した通り、トノグドラと特にシナジーがあるわけではないし、モロバレルを簡単に倒せるわけでもないので採用しない。こんな時は、まず構築全体として欲しいタイプから選び、そのポケモンに対ランドバレル要素を付随することで穴を埋める方が上手くまとまる。残りで欲しいのは「でんきタイプ」。水や飛行の処理が遅いからだ。よって、火力が高く先制技も使えるタケルライコを採用してみた。
・タケルライコ
②、③、④、⑥を満たす。地面の一貫を切れず、ハバタクカミやランドロス、ブリジュラスに弱点を突かれ、対モロバレルも得意そうに見えないので、おかしいと思うかもしれない。しかし、実際は本構築にとってより有効に働く。対水オーガポン性能が高く、じんらいという先制技が使える電気タイプ。元のタイプはテラスタルで変えれば克服できる。ランドバレルを意識すると草テラスタルが最適だろう。
このポケモンにこだわりメガネを持たせてりゅうせいぐんを撃つと、ブリジュラスに大ダメージが入る他、電気技を受けにきたランドロスやモロバレルがほぼ一撃で沈む展開が多発することが分かった。耐久値も高く、そもそもブリジュラスは素早さに振らない個体がほとんどなので先にりゅうせいぐんを撃てるし、こだわりメガネなのでかみなりやボルトチェンジを採用することもできる(崩し性能とサイクル性能を両立している)
このように、目先の相性では適切に見えないのに、実際の試合では大活躍する、何より構築全体で綺麗に連携が取れるこだわりメガネタケルライコには、構築の要に据える(キングドラ抜きでも強い選出の達成)、積極的にテラスタルを使う価値のあるポケモンなので、最後の6体目に決定した。
こうして構築の6体が決定し、ランクマッチで数百戦回していて特に不自由もなかったので、細部を調整して決定とした。余談だが、この形になる前はブリジュラスをしばらく使っていた。しかし、眼鏡ハバタクカミや化身ランドロス、モロバレルに弱いという問題を何一つ解決できず、プレイングのみで勝利するしかない苦しい試合が多かったので、明らかにネット予選に向いていないと判断して不採用に。実はその時からタケルライコはいて、ブリジュラスを外したところにハッサムを入れるという順で構築が完成している。上記の説明順と異なるがお許しいただきたい。
個別解説
ニョロトノ
あめふらし | |
オボンのみ | |
はがね | |
おだやか | |
H194(244)-A×↓-B97(12)-C110-D167↑(252)-S90 | |
だくりゅう/ほろびのうた まもる/てだすけ |
H:オボン意識の4n
D:特化ガチグマのノーマルテラスいのちのたまブラッドムーンを低乱数耐え(12.5%)する振り切り
特化いのちのたまタケルライコの10まんボルトを最大乱数以外耐え(6.2%)
持ち物なし電気テラスタケルライコの10まんボルトを低乱数耐え(25.0%)
鋼テラス時、タケルライコのこだわりメガネ以外の電気テラス10まんボルトをオボンのみ込み2耐え
構築の守護神とも言えるニョロトノの最強の技は「ほろびのうた」である。これは、相手が残り2体にさえなれば、攻撃せずとも確実に葬れる猛毒のようなものだ。見方を変えると、この技を決めればいいおかげで、相手の選出のうち倒せばいい相手が2/4に絞られるとも言える。調整はこの環境では主にタケルライコを基準に考えることになるが、鋼テラスを切ることで、電気テラスで玉を持っていてもギリギリ2発耐える。これは、「両者が仮にタイマンした場合、ニョロトノが勝つ」ことを意味する。なぜなら、攻撃を2回耐えるのであれば、「滅び→守る→何か→守る」とするだけで、相手の方が行動順が早いため、先に倒れて判定で勝ちとなるからだ。こんなことはペリッパーには到底できない。なお、この流れを成立させるためにはオボンのみが必須なので注意。ニョロトノは”タケルライコを楽に倒せるポケモン”なのである。
技構成のうち残りの2枠は、キングドラの火力を上げられる「てだすけ」と、水技の「だくりゅう」。なぜだくりゅうかというと、全体技であり、命中ダウンの上振れが見込める点が便利だからである。命中不安定なので外して負けることもある(予選でも1敗)が、ねっとうが使えない以上仕方がない。雨がやんだ時ガオガエンやランドロスに雀の涙ほどの残念なダメージしか与えられないウェザーボールを間違っても採用しないよう注意。
相手に勝つ手段は何も攻撃だけではない。「傷つけずに勝つ」それがニョロトノの実力なのだ。
キングドラ
すいすい | |
いのちのたま | |
はがね | |
ひかえめ | |
H169(148)-A×↓-B116(4)-C160↑(244)-D117(12)-S118(100) | |
だくりゅう/りゅうせいぐん ぼうふう/まもる |
H:いのちのたまダメ意識の10n-1かつ耐久高め
C:てだすけぼうふうで221-118までの無補正モロバレル が確定1発
りゅうせいぐんでとつげきチョッキ型以外のウーラオスを確定1発
D:無補正C252ハバタクカミ(控えめでは作れないSブースト型)のフェアリーテラスマジカルシャインを最大乱数以外耐え(6.2%)
S:+1最速91族まで(こだわりスカーフコノヨザル、霊獣ランドロス、Sブーストウガツホムラ)抜き
基本的にだくりゅうで制圧するが、ドラゴンにりゅうせいぐん、くさやかくとうにぼうふうを撃つ場面も多々ある。特に、モロバレル ・オーガポン・ウーラオスをてだすけ込みで倒せて雨下必中のぼうふうがバリューが高い。使用上のポイントはいくつかある。
一つ目は、だくりゅうやりゅうせいぐんが外れる技だと念頭に置きつつ、そのターンに何を選択すべきかを吟味すること。例えば、天候を変えてくるトルネロスにはだくりゅうではなくてだすけりゅうせいぐんが安定、水テラスでぼうふうを耐える可能性のある水ウーラオスにはぼうふうではなくりゅうせいぐんで倒すことを視野に入れる、といった具合だ。また、雨滅びの「倒す相手は2体で十分」という性質を考えると、「てだすけだくりゅうを撃てば2体倒せるが、どちらかに外すと残数有利を取れず試合が長引いて複雑化するので、より倒す優先度の高い相手を命中率の高いりゅうせいぐんやぼうふうで仕留める」と見極めなければならない時もある。外して負ける試合もあるし覚悟しなければならない(予選でも1敗) ここがこのポケモンを扱う上で最も難しい所だろう。外し得る場面をなるべく作らないように工夫すべきだし、そのためにはただ意識して練習するしかない。
二つ目は、ハバタクカミを恐れないこと。
鋼テラスを使えば不利ではないし、なるべく温存しておいてここぞという時に使えるように意識したい。CSハバカミでもてだすけだくりゅうではギリギリ落とせないが、別のポケモンである程度削ってから交代技で帰ってグドラを出し、トノに引いてだくりゅうで倒す動きもあるので、立ち回りの工夫次第でいくらでも倒せる。Sブーストハバカミには雨下でも抜かれてしまうが、その型ならテラスを切らなくてもフェアリーテラスマジカルシャインを耐える程度に火力がないいう知識があれば恐るるに足らない。
三つ目は、「まもる」を上手く使うこと。これは全ての雨エースに言えることだが、ほとんどの相手を上から縛れるポケモンは、相手からすると早く倒したいもので、当然狙われやすい。そこで、丁寧に守らせながら隣を動かしてアドバンテージを稼ぐ動きが刺さるわけだ。もっとも、全ての相手に毎回細かく守るを合わせていると流石に分かりやすく動きがバレてしまうので、強気に動かす選択をしなければならない場合もあるが。トリックルーム中などが顕著な例だろう。
ハッサム
テクニシャン | |
こだわりハチマキ | |
あく | |
いじっぱり | |
H173(220)-A166↑(4)-B132(92)-C×↓-D101(4)-S109(188) | |
バレットパンチ/とんぼがえり インファイト/アイアンヘッド |
B:-1パオジアンの無補正ふいうち+災補正鉢巻A特化カイリューのげきりん耐え
A特化水オーガポンの雨ツタこんぼうを確定耐え
D:無補正C252いのちのたま化身ランドロスのだいちのちから確定耐え
C特化こだわりメガネハバタクカミのシャドーボールを余裕持って確定耐え
S:少しSに振ったゴリランダーやHAカイリューを抜けそうなだけ確保
味方のタケルライコより早くすることでとんぼがえり→ニョロトノ出し→必中かみなりが可能
切り込み隊長、とんぼがえりによる偵察、バレパンによるスイーパーなど、幅広い役割をこなせる万能アタッカー。特にガオガエンやタケルライコと並べた時に安定感がある。このポケモンがいるだけで、相手はハバタクカミを初手から投げて適当に殴ってサイクル崩壊させることができなくなるため、選出に余裕が生まれる。
特に良いと感じたのは、役割対象であるハバタクカミ・オーガポン・パオジアンらと、しっかり”同じタイミングで盤面に居合わせる”ことだ。このゲームをやっていると、「相手のAを対策するために構築にBを入れたが、実際は試合中にAとBが対峙する場面が少なく、実質対策として機能していない」ことがある。これを防ぐには、「互いの構築相性によって実際のゲームがどんな構図で展開されるか」を読み解かなければならないのだが、本構築のハッサムはこの問題に引っ掛かることなく機能している。初手にハッサムを投げることが多いのだが、水オーガポンは雨を止めるために初手から来ることが多いので、序盤から出会うことができ、とんぼがえりで弱点を突ける。パオジアンやハバタクカミは、いつ出てきてもおかしくないが、初手に来た場合ハッサムを恐れてガオガエンなどの鋼を受けれるポケモンに引く。それを読んで蜻蛉から入るにしろガエンなどが出てきてから雨に引くにしろ、パオもハッサムも一度引っ込めて終盤に温存される展開になる。そして最後に再び出会うので、相手がバレパンから逃げられずこちら有利になる。
テラスタイプがあくな理由は、ガチキリン構築にある。ほとんどのガチキリンにはハバタクカミと悪ウーラオスが採用されており、リキキリン含めて選出のほとんどにハッサムが弱点を突ける。しかし、リキキリンの特性によりバレットパンチは撃てない。この時に、初手がハバカミウーラ(どちらかでも両方でも)で裏からキリンが出て来る場合、その動きは想定できるのでアイアンヘッドや蜻蛉返りを選択して対応できる。しかし、初手からキリンが来た場合、横のハバカミウーラに手助けをかけることができる。てだすけこだわりメガネシャドーボールやてだすけ悪テラスあんこくきょうだをハッサムは耐えられず、逆に餌にされてしまうのだ。この問題を解決するために、ハッサムを悪テラスにした。そして、ハバカミorウーラにフレアドライブ+キリンにとんぼがえりを撃って、グドラを出し、次のターンにトノ交代雨だくりゅうで両縛りの盤面が作れる。これが悪テラスハッサムになった経緯である。
技構成はバレットパンチ、とんぼがえりの他に、先制技を封じられた状況でも撃てる鋼技としてアイアンヘッド、重いドドゲザンやノーマルカイリューに撃つインファイトを採用。A無振りでもこだわりハチマキを持たせれば全ての技の威力が足りる。オーガポンが倒せないのは残念だが。
ゴリランダー
グラスメイカー | |
きせきのタネ | |
くさ | |
しんちょう | |
H207(252)-A153(60)-B110-C×↓-D126↑(196)-S105 | |
グラススライダー/ねこだまし ウッドハンマー/まもる |
D:C特化こだわりメガネハバタクカミのフェアリーテラスムーンフォースを確定耐え
アタッカーにもサポーターにもなり得る万能ポケモン。ニョロトノと相性がよく、終盤にねこだまし+ほろびのうたを決めた後両方まもる動きで試合を簡単に終わらせられる。そのため、まもるが使えるゴリランダーにする必要があった。とつげきチョッキが余っているが守れなくなる以上使えないので、耐久振りのきせきのタネ型にして攻守のバランスを確保。グラススライダーのリーチを伸ばすためにテラスタイプは変えなかった。ゴリランダーのスペックの高さにはいつも助けられている気がする。
ガオガエン
いかく | |
イアのみ | |
くさ | |
しんちょう | |
H201(244)-A135-B119(68)-C×↓-D148↑(196)-S80 | |
フレアドライブ/ねこだまし はたきおとす/すてゼリフ |
調整
特殊アタッカー環境意識の特防高め
特に説明不要の優秀なサポーター。現環境はかなりの特殊アタッカーが台頭してきているため、特防に厚い型であるべきだと判断した。全盛期ガオガエンの強さの一つだったはたきおとすを使えるようになったのが大きい。この技は威力が高いだけでなく、クローズシートルールで相手の持ち物から情報を引き出す点においてもとても優秀だ。技の威力が高いおかげで攻守兼ね備えた強ポケであるのが、個人的に今1番いいなと思っているポイント。
タケルライコ
こだいかっせい | |
こだわりメガネ | |
くさ | |
ひかえめ | |
H200-A×↓-B111-C205↑(236)-D132(180)-S107(92) | |
じんらい/りゅうせいぐん かみなり/ボルトチェンジ |
C:221-101までのHBモロバレルをりゅうせいぐんで確定1発
D:C特化こだわりメガネハバタクカミのフェアリーテラスムーンフォースを確定耐え
S:無振り85族(ブリジュラス・ゴリランダー)抜き抜き
先述の通り、ハバタクカミ・ランドロス・モロバレル ・ブリジュラスを強く意識して特防を高めにした草テラスこだわりメガネ型。元の耐性がこれらに弱点を突かれるものなので、なるべく初手に出して積極的にテラスタルしていく。
初手から相手のサイクルを崩しに行きたい時はかみなりとりゅうせいぐん、相手の出方を伺いながらサイクルを回したい時はボルトチェンジ、高速アタッカーを行動させずに縛りたい時はじんらいを選択する。とにかく相手に負荷をかけることが重要だ。
タケルライコの横に並べるポケモンにも触れておきたい。ニョロトノを置けばてだすけができるので、キングドラ以上のオーバーキル火力が出る。必中のてだすけかみなりや、高速アタッカーへのてだすけかみなりがとても強力だ。特に、相手のトルネロス×ハバタクカミにこの並びを投げると、相手がにほんばれを選択しがちなので、古代活性が発動する。これにより、じんらいの威力がハバタクカミを確実にワンパンできる程度まで上がってくれるので、とても美味しい。
ハッサムと並べれば、攻撃面での隙がなくなる。ハバタクカミをバレットパンチで縛れるのでタケルライコも動かしやすいし、先制技集中で無敵になることもある。また、ハッサムの方が素早いため、とんぼがえりでニョロトノに引いて雨を降らしながら必中かみなりを撃つことも可能だ。
ガオガエンと並べれば、ただでさえ高い耐久面が更に安定し、より行動補償をつけた状態でタケルを動かせる。ボルトチェンジとすてゼリフによるサイクルも可能だ。
ゴリランダーと並べれば、対オーガポン最強の布陣になる。ねこだましによる行動補償やサイクル、先制技集中、りゅうせいぐんやウッドハンマーの崩しなど、幅広い攻めのパターンが生まれている。草テラスでキノコのほうしを透かしてバレルやドーブルの隣を一気に崩し残数有利を取る動きも強い。
選出と立ち回り
選出①
後発:+など
キングドラで早めに2体狩れそうな時はこれ。狩った後はほろびのうたを入れて3ターン時間稼いで勝ち。
選出②
後発:から2匹
アタッカー多め。パワーがなさそうな構築相手だった場合は序盤からガッツリ攻めて勝つ。
選出③
後発:+
構築相性で差をつけにくい時は、このように様子見から入って、ダメージレースの末に雨を展開する。ガチキリンやパオカイ系統にハッサム+ガエン+鋼テラストノグドラが強く、ガエンゴリラ(オーガポンバレル)系統のサイクルパにはタケルの崩しが強い。
選出④
後発:+
寿司系統にはこう投げることが多い。アグロな並び+寿司の場合は雨から入って、合体されそうな時にガエンを後投げしながら滅びでヘイラッシャを突破する。滅びルートの方が戦いやすそうならゴリランダーも選出していい。
選出⑤
後発:@1
トリルパやイエアルマ・イエカシラ系に出す。まもるやねこだましのループでトリルターンを稼いだり、ガオガエン・ゴリランダーでワイドフォースの一貫を切って無力化させる立ち回りをする。
選出⑥
後発:+or
ペリッパー+ブリジュラスなど雨と戦う時はこう出す。ただ、ハバタクカミ、化身ランドロスのような高速アタッカーが多い場合、雨が降っていないと上から殴られ続けてこちらが不利になるため、場合によってはニョロトノを出すこともある。
選出⑦
後発:@2
対おいかぜ構築で楽をしたい時はこれ。先述したように、日本晴れしてくれたら嬉しいと思いながら、てだすけじんらいを連打する。それだけで相手が半壊する試合もあった。後続は雨展開を予定してキングドラを置くか、先制技持ちで固めるか、ゴリラガエンにして滅びルートを決めやすくするか、など自由。
成績
PJCS2024 第1回予選 最終141位(26-6)
レギュレーションF開始からずっと試行錯誤し、1月のランクバトルでは最終レート1900と少し程度で振るわなかったが、練習の成果はしっかり予選本番に活きてくれた。前回予選を抜けた年も似たような状況だったので、地道なランクバトルでの練習の意義を再度実感した。予選の対戦も準備していた通りのプレイをしっかりできていて、濁流外しなどの下振れ負けを含めても余裕持って抜けることができた。
さいごに
ニョロトノ×キングドラのコンビは、長年雨パーティを使ってきてトップクラスに愛着のあるポケモンたちだったので、それをハッサムやタケルライコのような他の好きなポケモンたちと構築単位で綺麗にまとめられたことがとても嬉しいです。今作になって誰も見向きをしなかったトノグドラの強さを、こうして新しい世代の人たちにも伝えられたことも満足です。予選や本戦はまだまだ続きますが、適切に立ち回れば安定して勝てる構築アーキタイプなので、より多くの方に興味を持ってもらえれば幸いです。
チームID:340P54
パーティ作成者
NoFace
ポダブル
公式大会: 全国2021 ランクマ:最終30位以内3回
非公式大会:てるチャレ準優勝1回best16以上4回
推し:井上麻里奈・茅野愛衣