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はじめに
皆様こんにちは。(自称)最強のニンフィアマスター、うさぎ(@Pink_Usagi_0709)です。
先月の公式大会「Global Challenge 2020 Autumn」にて好成績を収められましたので、再度寄稿させて頂きます(以下、前回の構築記事です)。
僕はランクバトルでは一定の成果を出せていたものの、2月・4月・5月のINCではあと1勝が出来ずに予選抜けが叶わなかったので、何らかのダブルバトルの公式大会で上位入賞を果たしたいと考えていました。その様な中、最終30位以内を目標に今回の「Global Challenge 2020 Autumn」に参加しました。全国大会出場等、権利獲得をかけた大会ではありませんが、初めて公式大会で上位入賞が出来、大変嬉しく思っています。
また、今回の構築で用いた「バタフリー&ガルーラ」の軸が、複数の著名なポケモンプレイヤー達にYouTubeでも取り上げられ、反響がありましたので、僕が何を考え、なぜ今のパーティに到ったのか、紹介させて頂ければと思います。
実績
Global Challenge 2020 Autumn マスターカテゴリ 最終15位(レート1777)
構築経緯
何はともあれ(自称)最強のニンフィアマスターですので、ニンフィアは真っ先に構築に内定しました。
「ほんとうに つよい トレーナーなら すきなポケモンで かてるように がんばるべき」です(後述しますが、ニンフィアにもいくつか重要な役割があります)。その上で、残りの5体を検討する必要がありました。
僕は元々「エルフーン」「ニンフィア」「トゲデマル」「ウオノラゴン」「ギャラドス」「トゲキッス」の構築でランクバトル、公式大会、PJNO等に参加していました。この構築は完成度が高く、4シーズン連続でランクバトル上位30位以内を維持した実績もあります。
しかし、ずっと使い続けながらもこの構築の弱点を感じていました。それは「追い風後のエルフーン」「猫騙し後のトゲデマル」が手持ち無沙汰になりがち、ということです。
エルフーンやトゲデマルに限らず、追い風要員や、猫騙し要員にはこの弱点が当てはまることが多いと思います。以前の構築で負ける時は、手持ち無沙汰状態の隙を突かれることが多かったです。
そこで「追い風後に、汎用的に非常に嫌なことが出来るポケモン」「猫騙し後に、汎用的に非常に嫌なことが出来るポケモン」を探すことにしました。
「汎用的に非常に嫌なこと」とは、僕の経験では、攻撃技であれば「威力が高く、リスクも少なく、広範囲なポケモンに打点があること」補助技であれば「眠らせること」だと思います。
まずは追い風要員を検討しました。眠らせるにしてもキノコの胞子以外は命中があまりに不安定で、積極的に使用する気にはなりませんでしたが「追い風が出来て」「安定して相手を眠らせることができる」ポケモンを発見しました。「バタフリー」です。
「バタフリー」は眠り粉要員、怒りの粉要員として使用されることが多く(Pokemon Homeによると、バタフリーの補助技の採用率は「眠り粉>怒りの粉>追い風」)、追い風を打てることは見過ごされがちですが、猫騙しでサポートすることで、安定した追い風要員になります。
また、追い風下のバタフリーは、相手にすばやさ操作がなければ、特性「複眼」も絡めて確実に上から「命中率97.5%の眠り粉」を打つことが出来ます。相手からすれば、ただただ、脅威でしかありません。バタフリーの強さに気付いた時は、頭の中で閃光が走りました。
次に猫騙し要員の検討です。バタフリーは「気合いのタスキ」必須なので、猫騙し要員には「猫騙し後に、汎用的に非常に嫌なことが出来るポケモン」という条件に加え、一定の耐久があることも必須です。また、鎧環境の猫騙し要員の代表格「ガオガエン」「ゴリランダー」の上が取れる素早さも欲しいです。そんな都合の良いポケモンはなかなか見つからず、仕方がないのでガオガエンをしばらく使っていました。しかし、相手の猫騙し要員に上を取られたり、攻撃技があまり打点にならなかったり、特性「威嚇」のせいでウォーグル、ミロカロス等「負けん気」「勝ち気」持ちを呼び寄せたり、上手く使いこなせませんでした。
そんな中、軽い気持ちでTwitterにて猫騙し要員を募ったところ、たなかさん(@tanaka_pokemon INC Feb.最終2位、PJNOベスト8)から「ガルーラ」を勧められました。正直、現在のガルーラには器用貧乏なイメージしかなく、最初はピンときませんでしたが、技を「猫騙し」「とっておき」だけにして、特性を「肝っ玉」にして、シルクのスカーフを持たせれば「威力が高く、リスクも少なく、広範囲なポケモンに打点がある」という条件を満たせることに気付きました。この時も頭の中で閃光が走りました。
この時点で「バタフリー&ガルーラ」の組み合わせが非常に強いことに気付き、構築の軸にすることが決定しました。使って頂ければ実感出来ると思いますが、この組み合わせは多くの構築に対して汎用的に強く、ハマるとこちらはダイマックスを切らずに相手を壊滅させることが可能です。
ニンフィア、バタフリー、ガルーラの3体が決まり、残りはダイマックス前提のポケモンと、この3体の補完が出来るポケモンを選ぶことになりました。
補完のポケモンの選択
ダイマックス枠は、前回の構築と同様「ギャラドス」としました。
バタフリーとガルーラで場を整えた後に、相手の上からガルーラの攻撃とギャラドスの攻撃を組み合わせ、ギャラドスの自信過剰を発動させて、相手を詰ませることを狙います。
更に、ダイマックスギャラドスと相性の良いウオノラゴン(ダイストリームで天候を雨に、ダイジェットですばやさ操作)も前回同様に採用しました。これで5体が決まりました。
残りの1体ですが、現状の5体の弱点として、
2.ナットレイ・アイアントが重い
3.イエッサン系トリパが重い
4.ガルーラよりもすばやい猫騙し要員(例:ライチュウ)に弱い
1と2の対策として「トゲキッス」を、1と3の対策として「ジュラルドン」を、4の対策として「ニューラ@進化の輝石」「アマージョ」を検討しましたが、結局そのどれでもない「ファイアロー」を採用することにしました。実は、このファイアローには非常に大きな意味があります。
現状の弱点として挙げた要素を含む相手の構築は、鎧環境では一定の確率で登場しますが、一つひとつはそれほど高い確率では登場しません。ナットレイやアイアントは「リザードン」「ガオガエン」「エースバーン」等により出現率が明らかに低く、イエッサン系トリパも体感的に出現率は10%未満、鎧環境での猫騙し要員は、ガルーラよりもすばやさが低い「ガオガエン」「ゴリランダー」であることが非常に多い。低確率の弱点のために貴重な枠を割くくらいなら、多くの構築に対応予定の「バタフリー&ガルーラ」の軸が決まりやすくなるためのポケモンを入れた方が勝率は高くなると考えました。そのためのポケモンが「ファイアロー」です。
相手の構築にファイアローが入っていたら、皆さんはファイアローが何のために入っていると読みますか。多くは「追い風要員としてのファイアロー」という予断を持って、選出を決定すると思います。この予断が「バタフリーも追い風が出来る」という重大な事実の見落としにつながると考えました。
実際、バタフリーは一般的には「眠り粉要員」であって「追い風要員」ではありません。そのため、いざバタフリーが出てくると、相手は催眠対策(例:初手に守る、草タイプに交代する、無理にダイサンダーやダイフェアリーを打つ、ラムの実、防塵ゴーグル持ちに交代する)に気を取られて、その隙にすばやさで上を取られてしまいます。次のターンからは、上からの命中率97.5%の眠り粉と、命中率100%で威力40,572(=161×140×1.5×1.2)のとっておきが飛んでくるという展開になります。
そこで今回は「バタフリー&ガルーラ」を通せる大半試合ではこのコンボを通して勝率を高め、通せない試合では、後述しますが「バタフリー&ファイアロー」での運勝ちを狙う作戦で臨むことにしました。
以上、前置きが長くなりましたが、使用したポケモンの紹介に移ります。
構成
ファイアロー
特性 | はやてのつばさ | |
持ち物 | するどいくちばし | |
性格 | ようき | |
実数値(努力値) | 154(4)-133(252)-91-*-89-195(252) | |
技 | ブレイブバード/おいかぜ ちょうはつ/まもる |
バタフリーが追い風要員であることを相手に意識させないためのポケモンです。また、パーティに存在するだけで仕事をするポケモンです。
ただし、どうしても「バタフリー&ガルーラ」が通せない時は、「バタフリー&ファイアロー」を先発させ、ファイアローが追い風をして、その後バタフリーが「キョダイコワク」を打って、運勝ちすることを狙います。それで拾った試合が2試合ありました。
ニンフィア
特性 | フェアリースキン | |
持ち物 | こだわりメガネ | |
性格 | ひかえめ | |
実数値(努力値) | 171(4)-*-85-178(252)-150-112(252) | |
技 | ハイパーボイス/はかいこうせん マジカルフレイム/でんこうせっか |
すばやさは追い風下で大半の相手を抜くために準速。火力は最大にするため、努力値はとくこうに252振って、性格も上方補正しています。
高いとくこう種族値、努力値全振り、性格の上方補正、特性フェアリースキン、こだわりメガネの効果から、全体技にも関わらず、超火力が叩き出せます。
技は、多くの場合ハイパーボイスを連打することになりますが、多少の犠牲があってもどうしても一撃で倒したいポケモンがいる場合は破壊光線を打つこともあります。マジカルフレイム、電光石火は稀に役立つことがありますが、殆ど打つことはありません。
(自称)最強のニンフィアマスターとして、ペット枠として入っているだけの様にも見えますが、高威力で通りの良い全体技が使えること、バタフリー・ガルーラが苦手とする水ウーラオスを牽制できること、トップメタであるドラパルトへの強力な打点があること等、重要な役割も担っています。
バタフリー
特性 | ふくがん | |
持ち物 | きあいのタスキ | |
性格 | おくびょう | |
実数値(努力値) | 136(4)-*-70-142(252)-100-134(252) | |
技 | ぼうふう/かふんだんご ねむりごな/おいかぜ |
眠り粉よりも、追い風を優先して使用します。
先述の通り、バタフリーを見ると相手は睡眠対策で頭が一杯になって、初手守る、草タイプへの交代等の行動を取ってくることが多く、その隙に追い風を発動させます。
追い風が発動したターンは、相手は守るも交代も出来ず、安心して上から眠り粉を打つことが可能になります。これが成功すれば、ガルーラの超火力の「とっておき」と併せて、Easy Winとなることが多いです。
挑発されることも多いですが、挑発されても、威力が高く追加効果も優秀なぼうふうや、相手のサポートにもなるかふんだんごは非常に有効で、挑発後も腐りにくいのが特長です。
更に、どうしても厳しい相手に対しては、先述の通りファイアローと協力して「キョダイコワク」を打つことで、運勝ちすることも狙えます。
ウオノラゴン
特性 | がんじょうあご | |
持ち物 | こだわりスカーフ | |
性格 | いじっぱり | |
実数値(努力値) | 166(4)-156(252)-120-*-100-127(252) | |
技 | エラがみ/こおりのキバ かみくだく/いわなだれ |
最速にしてこだわりスカーフを持たせても最速ドラパルトは抜けないため、準速にしてその分火力を上げています。
こだわりスカーフを持たせることで、追い風が発動していない状況でも高速で超火力を打てるアタッカーです。技は基本的にはエラがみ一択で、水技であるエラがみは通りも良く、多くのポケモンに大ダメージを与えることが出来ます。
エラがみ以外の技はあまり使うことはありませんが、エラがみがどうしても通らない時(例:トリトドン、特性「貯水」のポケモン)のための時に備えてこおりのキバとかみくだく、27%の確率で相手を怯ませトリックルームの発動を阻止するためのいわなだれを入れています。
非ダイマックスポケモンは、水技が半減以下、天候が晴れ、ウオノラゴンが火傷状態等でない限り、基本的にはエラがみ一撃で倒せますし、ギャラドスのダイストリーム発動後に天候が雨になった状態では、耐久が低めのダイマックスポケモンすら一撃で倒せることがあります。
ガルーラ
特性 | きもったま | |
持ち物 | シルクのスカーフ | |
性格 | いじっぱり | |
実数値(努力値) | 180-161(252)-100-*-101(4)-142(252) | |
技 | ねこだまし/とっておき |
技は「猫騙し」「とっておき」の2つだけで、猫騙しを打った後に、とっておきを連発します。
この型のガルーラのとっておきの火力は、161(こうげき)×140(技の威力)×1.5(タイプ一致)×1.2(シルクのスカーフの効果)=40,572と、追加効果こそありませんが、ノーリスクで超火力を叩き出せます。物理耐久が中未満の非ダイマックスポケモンは、とっておき一撃で倒すことも可能です。
更に、このガルーラの強さは特性「きもったま」にもあります。環境に跋扈する威嚇持ちポケモンをシャットアウト、ヤミラミやサマヨール等、本来はノーマルタイプが効かないゴーストタイプにも猫騙しや、とっておきが直撃し、相手の勝ち筋を根本から崩すことが可能になります(ゲンガーの特性「呪われボディ」には注意が必要です)。
後述しますが、条件さえ揃えば、バタフリーと組み合わさった時のガルーラの強さは凄まじく、殆どの試合でEasy Win可能です。
ギャラドス
特性 | じしんかじょう | |
持ち物 | いのちのたま | |
性格 | いじっぱり | |
実数値(努力値) | 171(4)-194(252)-99-*-120-133(252) | |
技 | たきのぼり/とびはねる パワーウィップ/ちょうはつ |
持ち物はいのちのたまで、火力を最大化しています。
最速にするか、準速にするか、一長一短です。最速にすれば、S+1で最速ドラパルトが抜けるメリットがあり、準速にすれば一撃で倒せる仮想敵が増えるメリットがあります。色々と考えましたが、ギャラドスは追い風状況下で動けることが多いため、最速でなくても最速ドラパルトの上を取れることが多いと判断し、準速にしています。
技は、水タイプ、飛行タイプ、草タイプで、大半のポケモンはこれで等倍以上が取れます。ダイストリームで天候を雨にすることで、ギャラドスとウオノラゴンの火力の増強、ダイジェットでのすばやさ操作、ダイソウゲンは本来苦手なトリトドンや水ロトムへの対策に必須、また環境に多いアシレーヌやミロカロスへの大きな打点になります。挑発は、ダイマックス時のダイウォールにも使えます。
「バタフリー&ガルーラ」で場を整え、ガルーラのとっておき後にギャラドスが攻撃して相手を倒すことで自信過剰を発動させれば、圧倒的なアドバンテージが取れます。
選出と立ち回り
基本パターン1
先発:+
後発:+or
基本的にはこの選出です。
相手がトリパでなければガルーラの猫騙しで相手を止めつつ、バタフリーで追い風を展開する。
相手がトリパならガルーラの猫騙しでトリル要員を止めつつ、バタフリーで眠り粉を打ちます。
これだけで多くの場合、一方的に相手を崩壊させることが可能で、倒しきれなかった相手のポケモンは後発の超火力ポケモン達で安全に倒すことが可能になります。
バタフリーやガルーラで削った相手のポケモンを、ギャラドスのダイジェットで仕留めることで、ギャラドスのAとSが上がり、手を付けられないくらい強くなります。
基本パターン2
先発:+
後発:から2体
バタフリー & ガルーラでは厳しい場合(例:相手にガルーラよりもすばやい猫騙しポケモンがいる、眠りを防ぐポケモンが多くいる、イエッサン系トリパ)はこの選出です。
ファイアローが追い風をしてから、バタフリーがキョダイコワクで相手を状態異常にして、運勝ちを狙います。
勝率は高くありませんが、普通に戦っても勝てない相手を眠らせたり、麻痺して動けなくしたりして勝てることがあります。
さいごに
当初は鎧環境に適応出来ず、なかなか結果が出なくてしばらく苦しんでいましたが「バタフリー&ガルーラ」という軸を見出し、不調を打破する契機となりました。
この構築は大好きなニンフィアも活躍の機会が多く、嬉しい結果となりました。
この軸をベースに鎧環境後のルール(厨ポケ達が出入り禁止のルール)でも結果を出そうと頑張りましたが、その後もしばらく苦戦が続き、シーズン10でも最終30位以内に入ることは出来ませんでした。
何が悪いのか試行錯誤を続けた結果、突破口が見つかり、厨ポケ達が出入り禁止のルールでも「バタフリー&ガルーラ軸」は通用することを証明することが出来ました。
次回は、厨ポケ達が出入り禁止のルールでどの様に「バタフリー&ガルーラ軸」を応用したか、紹介させて頂ければと思います。
長文になりましたが、僕の拙い構築記事を読んで頂きありがとうございました。
レンタルチームID:0000 0002 D0M2 0X
パーティ作成者
うさぎ
自称最強のニンフィアマスター。ポケモンはダブル専門。久留米大附設中高、東大を卒業後、任天堂に新卒入社し、今は外資系製薬会社のIT部門に勤務。S4最終23位、S5最終23位、S6最終22位、S7最終16位、S11最終13位、PJNO Day1、Global Challenge 2020 Autumn最終15位