レンタルチームID:0000 0000 MGC7 XB
はじめに
ぎんなん(@icho_poke)と言います。
リバティノートには初寄稿になります。
先日行われたPJCS2022本戦でWCSのDay1権利を獲得した構築を紹介します。3月のランクマ最終日用に組んだ原型から使い続けた構築で、下記の安定した実績を出し続けました。
・ランクマッチ
S28(3月)31位
S29(4月)14位&55位
・PJCS予選
4月 36勝7敗 27位
5月 27勝6敗 20位
・PJCS本戦
4勝2敗 34位/150名
PJCS本戦では別の構築を持ち込もうと考えていましたが、この構築の完成度を越えられなかったため微調整のみで使用しました。
一方でイベルタルの型の誤認に大きく頼った構築であり、WCSでは使用しない決別の意を込めて今回執筆しました。
構築経緯
①伝説枠の選定
高火力高速範囲打点のアストラルビットを持つ黒バドレックスを後発で投げる動きが、勝ちパターンを単純化できる点で優れていると感じました。
しかし、定型化していたザシアンとの組み合わせには懐疑的でした。
このポケモンを通す障害となる相手のレジエレキや黒バドレックスに対して、ザシアンが有効な対抗手段とはなり得ないためです。
またこの組み合わせでは黒バドレックスが気合の襷を持たざるを得ず、基本選出のはずの両方がダイマックスできない点も気になりました。
伝説戦の基本選出はサポーター1+アタッカー3と私は考えており、もう1枚のアタッカーにしかダイマックスが切れないのはプレイングの自由度があまりにも低く私好みではありませんでした。
そこで目をつけたのが物理型のイベルタルです。
不意打ちは相手のレジエレキ・黒バドレックスを刈り取ることができ、勿論ダイマックス時も随一のパワーを誇ります。
ダイアークのDダウンが黒バドレックスでのスイープ性能を高める点も嚙み合いが良いです。
②一般枠の選定
伝説枠と相性が良く、かつ2枚で圧力がかけられていないガオガエンを意識した選択が望ましいです。
イベルタルと横に並べる初手サポーターとしてカメックス、黒バドとともにスイープするアタッカーとしてエースバーンを選びました。
これら4匹を基本選出とすることで多くのカイオーガ・グラードン構築と戦うことができました。
追い風軸の構築を意識してチョッキダイジェットレジエレキを採用したところ、対イベルタル、対黒バドレックス構築にも出していけることがわかりました。
余った1枠は、白バドレックス+パルキア構築(特にポリゴン2入り)の対抗のためだけにニンフィアを採用しました。
・初手から積極的に攻めて荒らして、黒バドレックスでのスイープを目指す
・ダイマックスを全員が強く切れる型にして、プレイングの幅を広げる
個別解説
バドレックス(こくばじょうのすがた)
じんばいったい | |
のろいのおふだ | |
おくびょう | |
175-*-101(4)-217(252)-120-222(252) | |
アストラルビット/かふんだんご みがわり/まもる |
スイーパーなのでCS振り切り
普通の黒バドレックスです。
基本的に後発で降臨させて、アストラルビットを連打して詰めを狙います。
持ち物ののろいのおふだの理由は、後述のきあいのタスキ持ちのエースバーンの強さに気付いたためです。
また、HDに努力値を回し、素のアスビを2耐えしてくるザシアンの確定数を綺麗にズラすことができます。
生存のための守るは確定で、身代わりも非常に便利な技です。
不意打ちを透かすだけでなく、カイオーガなど中速ダイマをいなしたり、片方捨てて死に出しガオガエンなどで盤面を整える相手の動きを咎めたりすることができます。
ガオガエン側の悪技が捨て台詞を妨害できるじごくづき等がトレンドになっていたのも追い風でした。
最後の技枠について検討を重ねたところ、最低限ノーマルタイプ(ポリゴン2)にダメージが入る攻撃技であれば何でもいいことがわかりました。
インターネット予選時は、ギガスドガスと打ち合うダイアタック媒体のトライアタックを採用していました。
しかしPJCS本戦では1名しかギガスドガスを持ち込みそうな人がいなかったこと、手助けダイワームでサイコシードイエッサン♀やHBブラッキーをワンパンできることから、当日の朝にかふんだんごへ変更しました。
結果的に本戦ではカイオーガの瞑想に対して、横をダイワームで倒して実質的に相殺して勝つことができました。
イベルタル
ダークオーラ | |
いのちのたま | |
ようき | |
201-183(252)-121(44)-*-118-160(212) | |
イカサマ/ゴッドバード ふいうち/まもる |
陽気ザシアンの巨獣斬+珠ダメを87.5%で耐える
(→ダイマ中に珠ダメを2回耐える期待ができる)
追い風下s1段階下降トルネロスをダイジェット1回で抜く
ダイジェットでH252-B60までのオーロンゲを確定1発
ふいうちでゴリランダーのグラススライダー耐え程度のレジエレキを確定1発
物理イベルタルです。基本的に初手投げします。
一応メインのダイマ枠ですが、非ダイマでも珠ふいうち、イカサマが強力です。
不意打ちがCSカイオーガに7割程度入ったり、イカサマ+不意打ちでASザシアンが吹き飛んだりします。
配分を少しBに回しているのはそのためですが、本戦では最速ルナアーラに催眠術チャンスを与えてしまったためASで良いかもしれません。
ゴッドバードの理由はダイジェットの威力が140となり、環境のhdベースのオーロンゲへの乱数が大きく変わるためです。
様々な記事を漁った限り、リリバ以外では最も固い配分でもH252B100(威嚇+リフレクターで陽気巨獣斬耐え)でした。
カメックスのねこだましも合わせることを鑑みて十分落とせると考えました。
仮にオーロンゲにねこだましを打てなくても型の誤認から光の壁を貼らせつつワンパンし、後続にダイアークを入れることで光の壁を相殺することができます。
物理ダイアークはちょうど陽気きょじゅうざん耐えのポケモンを確定で倒せる程度の火力があります。
てだすけ込みでcsサンダーがほぼ確定1発で落ちるなど、特殊型同様の爆発力があります。
特殊イベルでは(特にチョッキ)オーガザシアンに対して苦しくなるところを逆に強襲できる等、bo1において非常に有効に働きました。
カメックス
あめうけざら | |
オボンのみ | |
おだやか | |
184(236)-92-128(60)-106(4)-166(204)-99(4) | |
ねこだまし/しおふき こごえるかぜ/てだすけ |
・ダイマ時控えめレジエレキの珠140ダイサンダー耐え
・意地ゴリランダーのグラススライダーを93.6%耐え
・臆病リザードンのサンパワーダイジェット+意地グラードンのだんがいのつるぎをオボンのみ込みで高乱数耐え
(PJCS本戦の配分とは少し異なりますが、こちらの方がキレイなのでこちらで紹介します。)
少し珍しい耐久ぶっぱカメックスです。
黒バドレックス、イベルタルの双方と相性の良い初手のサポート役として採用しました。
・ガエンに手が出る水タイプ
・キョダイホウゲキのスリップやてだすけが黒バドレックスのスイープをアシストできる
・こちらの裏の黒バドレックスを見据えた相手のダイジェットをこごえるかぜ・ダイアタックで相殺できる
・イベルが苦手なザシアンの行動をねこだましで1ターンスキップできる
・ダイジェットの打ち合いをこごえるかぜで1歩リードできる
・天敵の襷レジエレキをキョダイホウゲキで貫通できる。
・天敵のダイマエレキをキョダイホウゲキ+珠ふいうちで撃退できる
サポート役でありながら、ダイマの性質が構築全体と噛み合っている点が使用感抜群でした。
性格は元々なまいきでSを下げていました。
しかし、ガオガエンにねこだましを打たれるようになったためA下降のおだやかに戻しました。
ねこだまし+イベルタルのダイジェットでオーロンゲを無償で突破するのが理想の動きです。
こごえるかぜとてだすけの両持ちは過去ルールではクレセリアが有名です。
どちらもカメックスの技としては相手の想定の外に置かれがちな技ですが強力なセットです。
例えばダイジェットポケモンと対峙した際に、以下のように柔軟な選択ができます。
・てだすけダイアークで無理やり倒しに行く
・ジェット凍える風でマウントを取りに行く
水技が潮吹きの理由はダイマックス時の威力150と、初手投げが多いことからハイドロカノンの反動を嫌ったためです。
イベルタルのダイアークに乗せたり雨にタダ乗りしたりして、暇なときに範囲打点が出せるのは便利でした。
エースバーン
リベロ | |
きあいのタスキ | |
いじっぱり | |
155-184(252)-96(4)-*-95-171(252) | |
かえんボール/とびひざげり ふいうち/まもる |
・B無振りザシアンへのかえんボールが186ダメージ~
・特に削る意味もないのでSぶっぱ
命中率を犠牲に構築のあらゆる要望に応えた後発襷枠です。
・黒バドレックス同士の同速勝負の前にふいうちを差し込める
・ザシアンとのタイマンに勝てる
・ガオガエンをワンパンできる
・ポリゴン2の処理が速い
・ゴリランダー、レジエレキに隙を見せない
・ダイマ終了後のWキュレムを倒せる
技構成は上記全てを満たす3つの攻撃技とまもるで完結しています。
イベルとのダブルふいうちは、ダークオーラ補正も乗りCSダイマレジエレキを確定で倒すほど強いです。
黒バドレックスと並べば緊張感のおかげで、ガオガエンのヨプに怯えることなくとびひざげりで倒せるのも素晴らしいです。
最速にして抜けるザシアンはかえんボールで倒しきれないため、火力を優先していじっぱりで採用しました。
HDミミッキュへのキョダイカキュウがちょうど確定になるなど、恩恵が多いです。
レジエレキ
トランジスタ | |
とつげきチョッキ | |
ようき | |
171(124)-128(60)-87(132)-108-85(116)-253(76) | |
ワイルドボルト/とびはねる しんそく/エレキネット |
・ワイルドボルトでcsカイオーガを確定
・ダイマ時控えめカイオーガの雨下珠150ストリーム確定耐え
・S1段階上昇100族、準速レジエレキ抜き
・残りBで最も固くなりそうな配分
とても固いレジエレキです。
追い風カイオーガや黒バドレックス、イベルタル構築に出していきます。
ダイマックス枠ではありますが、S操作のサポート役のイメージで選出します。
徹底してダイアタック・ダイジェットを優先します。
Aは最低限に留めて耐久に回していますが、構築全体で先制技が豊富なため気になりませんでした。
きょじゅうざん+でんこうせっかで倒す相手の算段等を崩せる耐久値が頼りになりました。
一致技のワイルドボルトは、カイオーガやイベルタルのチョッキを意識しています。
神速・飛び跳ねるはそれぞれダイアタック・ダイジェットの媒体としての使用がメインです。
エレキネットはダイマ後のダメ押しのS操作技です。非ダイマ時はほぼこれしか押しません。
綿胞子エルフーンや追い風+ダイジェットのアーキタイプが急増し、対追い風の立ち回りがシビアになってしまいました。
それでもパーティには欠かせない1体でした。
ニンフィア
フェアリースキン | |
せいれいプレート | |
ひかえめ | |
189(148)-*-85-165(156)-150-106(204) | |
ハイパーボイス/あくび しんぴのまもり/まもる |
・無振りイエッサン♀抜き
・D1段階下降H振りパルキアをWダメハイボで確定1発
白バドレックス+パルキア対策枠で、イベルタルと一緒に初手投げします。
パルキア絡みの初手なら殲滅し、ポリゴン2等で強引にトリックルームを通された場合は時間稼ぎに徹します。
殲滅のためのハイパーボイス、時間稼ぎのためのあくびとまもるを採用しています。
しんぴのまもりはモロバレルを強く意識した技で、選出する構築を絞っているからこそ採用できるメタ技です。
持ち物のせいれいプレートはパルキアへの確定数を意識したものです。
配分はc以外は自由ですが、かなり回したsは有効に働くことが多かったです。
カプ・レヒレの光の壁の上から動けたり、グラードン+イベルタルに選出できるようになったりしました。
選出と立ち回り
基本選出
後発:+
主にザシアン+グラードンorカイオーガへの選出です。
よくわからない構築にも困ったらこの選出が一番安定します。
前2体で相手のダイジェットを許さずに荒らして、後発組での制圧を目指します。
先発のどちらが倒れても、残った方のダイアークor手助けで黒バドレックスの火力補強ができます。
対ザシアン+黒バドレックス、おいかぜパーティ
後発:+
どちらもダイジェットや追い風での素早さマウントをメインとした構築です。
レジエレキダイマでこれを咎めつつ、2体のふいうちで優先度のマウントを取っていきましょう。
相手のS操作終了時にこちらの黒バドレックスが生存していれば勝利は近いです。
対ザシアン+イベルタル
後発:+
基本的にレジエレキでダイマックスします。
襷エレキを最優先で倒します。黒バドレックスは相手的にも処理の優先度が高くないので強気に動かしていいです。
イベルタル以外を速やかに処理し、こちら2vsイベルタル1匹の状況を目指します。
Wキュレム構築にもこの選出が多いです。
対パルキア+白バドレックス
後発:+
こちらの伝説枠があまりにも白バドレックスに強いため、初手投げされることはほぼありません。
初手パルキアならダイアークビート、ポリゴン2なら神秘欠伸でお茶を濁します。
トリルが切れた状態でエースバーン+伝説枠が残っていれば勝てます。
さいごに
PJCS本戦で結果を残したプレイヤーの多くが、未知の伝説の並びを使用しており私自身も驚きました。
同時にまだまだこのルールに開拓の余地が残されていることの証左でもあると思います。
今回の記事が、その開拓の一助となれば幸いです。
レンタルチームID:0000 0000 MGC7 XB
パーティ作成者
ぎんなん
PJCS2018,2019,2022本戦出場。WCSは今回が初参加。
他ルールではシングルレート2100、公式大会「ウォーターパラダイス」30位など。
変なルールの構築を考えるのが好き。